神戸の観光の目玉の一つが異人館街です。明治初年、神戸港が開港したときに生田川の西側の浜辺の５００メートル四方の地を外国人居留地として開発されました。道路には歩道が併設され街路樹やガス灯が並び、下水道が埋設された近代都市であったそうです。しかし幕末、列強との間に結ばれた不平等条約によって居留地は日本の施政権の及ばない治外法権の地でした。

　明治２７年に陸奥宗光が責任者となってまとめた陸奥改正案が調印され、明治３２年に発行。これによりやっと居留地は日本に返還されました。条約改正により外国人の内地雑居が始まり、神戸の場合は生田川の西から宇治川までの間の海岸から六甲山麓までの地域を雑居地と決め、外国人が住めるようにしました。
　そこで外国人は競って見晴らしの良い山手一帯に住むようになり、異人館街が形成されていきました。幸い神戸には日本を理解し日本人との共存共栄を望む立派な外国人が多く集まり人口はどんどん増えていきました。特に親日的で日本人女性と正式に結婚する人物も現れ、六甲山に日本で初めてゴルフ場（神戸ゴルフクラブ）を開いたA・H・グルームやアイルランド出身のE・H・ハンターなどです。E・H・ハンターはハンター商会の設立者で、造船所「大阪鉄工所」を設立。後に同鉄工所は「日立造船」へと発展しました。旧ハンター邸は王子動物園で見ることが出来ます。
　また多くの聖職者達も神戸を訪れ、米国人伝道師で医師のJ・C・ベリーは医療奉仕に努力すると共に、日本人医師の育成にも貢献し、後の兵庫県立神戸医大（現神戸大学医学部）の基礎を築きました。同じくW・Rランバスは関西学院大学の創立に尽力し、初代学長となる等、多くの外国人が神戸の発展に寄与してくれました。

　さて、観光地として人気の異人館街にはＪＲ三ノ宮駅から北野坂を歩いて行くのが普通ですが、今回ちょっと違ったルートを紹介したいと思います。六甲の森を歩く、ちょっとハイキング気分を味わえる背山散策路です。三ノ宮駅から地下鉄西神・山手線で新神戸駅まで行き、新神戸駅の下（生田川沿い）をくぐり抜けると、すぐ左手に背山散策路入り口が現れます。
　散策路は１Ｋｍちょっとの長さで、新神戸駅を下に見、神戸夢風船の下を通り、森林浴をしながらの２０分ほどの散歩で「うろこの館」の裏に出ることが出来ます。途中の見晴らし台からは神戸港を一望することが出来ます。

　異人館散策でお腹がすいたら、ベトナム料理屋・メコンがお勧めです。北野坂の突き当りの西側にあるベトナム人シェフが腕を振るうお店です。ベトナム料理と言えば、フォーや生春巻きが有名ですが、私のお勧めはベトナムカレーです。インドカレーや日本のカレーとは一味違うカレーです。絶対くせになること請け合いのカレーです、是非お試し下さい。

食後のコーヒーは、やはり北野坂の突き当りに近い登録有形文化財である異人館を丸ごとカフェにしたスターバックス神戸北野異人館店がお勧めです。外見もさることながらインテリアや家具も凝っていて、豪邸の書斎にいる気分で、一時間でも二時間でもゆっくり読書することが出来ます

　六甲山麓のプチハイキングと異人館散策、ベトナムカレーと異人館カフェ・スタバの珈琲で丸一日素敵な神戸を満喫してください。