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 寄稿日:令和元年11月10日(日)  執筆:宮本和夫  秋の味覚を求めて(丹波路へ)

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秋の味覚を求めて(丹波路へ)

1.概要

  「高値びっ栗1粒4577円」これは、今年10月15日に地元の丹波新聞に掲載された見出しである。
  この栗を生産したのは、鐘華会高砂支部の村上鷹夫さんで、
  このことで、この10月4日に近畿農政局長賞を受賞されている。

  10月2日に神戸のANAクラウンプラザホテルで開催された第9回鐘華会の総会で、
  久しぶりに村上さんとお会いして懐かしく近況を語りあい、
  久しぶりに丹波にある村上さんの生家と里山周辺を訪ねることにした。

  丹波の味覚には、黒豆、栗、柿、マッタケ、神戸牛等々があり、その中でも、この丹波栗が
  ことのほか好きで、毎年、村上さんが生産する丹波栗をいくらか発注して送ってもらっている。
  今年は、村上家の畑から黒豆と柿の収穫と発注した栗を仕入れて、
  ついでに周辺の里山に点在する古社仏閣を夫婦で訪ねてみることにした。



①丹波栗「筑波」の近畿農政局長の賞状


②生産者の村上鷹夫さん
(丹波栗振興会のユニホーム着用)


③落札した「京丹波」の社長と村上さん


④神戸新聞の記事

2.村上家が栽培する農作物

 1)丹波栗(「筑波」、「銀寄」)

    村上家の栗の栽培面積は約30アールで、収穫量は約400トンだそうで、
  今年で丁度10年になるそうです。栗の品種は丹波栗といわれる「筑波」と「銀寄」の2種類で、
  今回受賞したのは「筑波」だったそうです。
  栗の栽培で、大切なのは、剪定と虫の防除だそうで、
  特に、虫が多く果物の中で最も栽培しにくいと言われているそうです。

    今回、「丹波栗広域品評会」は、
  京都府と兵庫県にまたがる丹波地域で栽培された132点の審査を10月4日に行ったもので、
  村上さんが栽培した「筑波」が見事に近畿農政局長賞の栄誉を得た。

    地元の丹波新聞によると、この受賞した栗(1.1Kg)のセリが10月14日に行われ、
  11万9000円の史上最高値で落札され、
  1粒あたり4577円の最高値と冒頭に記述した見出しを付けて、
  栗が兵庫を代表する高級食材の丹波マッタケや神戸牛の最高級品と肩を並べるようになったと
  報じている。

 2)合鴨農法による稲作

    村上さんは、栗の他に合鴨農法による水稲作を続けており、今年で27回目が終わったそうです。
  合鴨農法は、日中は水田に放し飼いして雑草や害虫を食べさせるといった方法の稲作で
  無農薬農法の一つでもある。合鴨は成長すると稲を食べるので、食肉として利用する。
  兵庫県では、この合鴨水稲作を始めたのは村上さんが最初ではないか?と言われており、
  すくなくとも兵庫県では先駆者の一人であることは間違いない。

    村上さんの地元の上久下地区でも、この合鴨農法をやる人が段々と増えてきて
  現在は4人となっている。村上さんのところでは、この合鴨農法は来年も続けるつもりとのこと。

  ⑤水田の草や虫をついばむ合鴨の子供

  ⑥餌を与えている村上さん

 3)その他の農作物(黒豆、ブルーベリー、ニンニク、米等)

    村上家のその他の田畑では、ブルーベリーを約100Kg収穫しており、
  収穫時期の違ういろいろな品種があるので、6月から9月頃まで収穫を続けている。
  また、昨年からニンニクの栽培を始めたが半分腐ってしまい200Kgの収穫であった。
  その他では、黒豆、米などを栽培している。
  これら、栗にブルーベリー、ニンニクは丹波市が特産物としようとしている作物でもある。



⑦村上家の黒豆の畑


⑧ブルーベリー畑


⑨柿の畑

3.ボランティアー活動

    村上さんは、これらの農作業の合間を縫って、
  丹波竜の発掘調査や緑化運動等いろんな活動を続けられている。

 1)丹波竜発掘ボランティアー

    平成18年(2006年)8月7日に、村上さんの故郷である丹波市山南町上滝の篠山川で見つけた
  小さな突起物が、やがて国内最大級の恐竜「丹波竜(タンバティタニス・アミキティアエ)」や
  日本最古級の哺乳類「ササヤマミロス・カワイイ」等々の世紀の大発見につながっていった。

    最近では、新しくできた川代トンネルの岩砕からネオケラトプス類とみられる角竜の骨が
  見つかっており、今迄に6ケ所で化石が見つかっている。

    今迄にカウントされている化石は上滝だけでも35000個を越しており
  卵殻だけで数種類の卵殻が確認されている。この中から新品種が発見される可能性もあり、
  大いに期待されている等、こと丹波竜に関しては、次々と新しい発見が期待でき
  さらに夢が膨らみロマンを駆り立てられるばかりでこれからも楽しみである。

    村上さんは、この発掘調査に第1次から参画されており、忙しい農作業の合間を縫って
  発掘現場のガイドや化石の発掘体験などの行事をサポートされている。

  ⑩丹波竜のモニュメント

  ⑪篠山川の白亜紀の地層(約1億1千万前)



⑫丹波竜発掘現場


⑬発掘現場にて(村上氏)


⑭国際色豊かな活動

 2)緑化(植樹)運動への参加

    元神戸大留学生の「黄土高原の自然回復に、日本からも協力して」との呼びかけに応じて、
  平成14年(2002年)10月に「黄河の森緑化ネットワーク」が設立され、兵庫県のNPO法人
  (特定非営利活動法人)として認定を受けた。

    この緑化活動に10数年前より参加しており、
  毎年、植樹の後に中国各地の観光を楽しみにしていたが、最近、稲刈りと時期が重なって
  あまり参加できていない。
  一方、国内での活動の一つに、六甲山の住吉川上流の砂防ダムの緑化を進める活動があり、
  毎年、落葉樹の苗木の植え付けと下刈を行っている。
  今では栗が実り、櫻が咲くようになっているそうです。

    この「黄河の森緑化ネットワーク」には、鐘華会会員も数名参加されているそうです。

4.収穫

    通院や食料買い入れ以外で車を運転するのは、久しぶりで片道2時間余りの
  丹波路のドライブを楽しんだ。川代公園で、ゆっくりと休息して、
  1度訪ねたことのある洞光寺へご朱印をもらいに行ったが留守であった。

    洞光寺から村上さん宅への道筋に篠山市中心部と丹波市山南町を結ぶ県道篠山山南線が
  新しく開通されており、そこの1~3号トンネンルの工事中に1号トンネルの篠山層群
  (約1億1千年前の地層)からネオケラトプス類の角竜類の化石が出土されたことから、
  1号トンネルの入り口に角竜、3号トンネルの入り口に丹波竜のパネルが張られています。
  丹波路を通行の際はお見逃しなく。

    たくさんの丹波の秋の味覚を手に入れ、
  帰路に三寳寺に立ち寄って御朱印をいただき初秋の丹波路を一路、高砂へ。



⑮川代第1号トンネル


⑯篠山層群の角竜


⑰第3号トンネル開通式


⑱収穫した柿


⑲丹波栗


⑳黒豆


㉑洞光寺の山門


㉒三寳寺の山門


㉓三寳寺のご朱印

    村上さんは、この他にも、いろんなことに今も挑戦を試みているそうです。

    時間の使い方は、そのまま命の使い方とも言われております。
  太古の歴史や、中国大陸にロマンを求める一方、故郷に定着してふるさとの土を耕して
  いろんな農産物の栽培にいそしむ村上さんには頭が下がる思いがします。
  なすことも知らず、馬齢を重ねていく自分にとって
  その生きざまを少しでも参考にしたい村上さんは、そんな大切な畏友の一人であります。