第55回例会 ：
　「青春時代の官兵衛が駆け巡った御着から別所を歩く」

ＪＲ御着駅～播磨国分寺跡～山之越古墳～檀上山古墳～黒田家廟所～復元石橋～御着城址＝姫路市東出張所(昼食)～小寺大明神(天川神社)～大歳神社～深志野町墓地～深志野(黒田家)構居跡～姫路市立東中学校(中庭の古墳)～ＪＲひめじ別所駅

　今回はＮＨＫ大河ドラマ「軍師官兵衛」で話題沸騰中の御着周辺を歩く。しかも鐘華会員でガイド資格をお持ちの高谷さんが案内して下さるので期待が膨らむ。しかし天気予報の降水確率が50％で、催行中止の60％をわずかに下回る空模様。２０名の参加者は心配げに空を見上げながら、定刻１０時にＪＲ御着駅前を出発した。

　北西に７分ほど歩くと播磨国分寺跡に着く。７４１年に聖武天皇の詔勅で創建され、度々の兵火で焼失しながらも１６３９年以降再建が繰り返され、立派なお堂や門、築地塀等が再建されている。南面すると標高１６７ｍ弱の火山（ひのやま）がゆったりと山裾を広げている。現在は眼前を新幹線が疾駆するが、往時はさぞ神なびて眺められたであろう。ここで心配した雨が降り出し全員携帯傘を広げる。遺跡巡りにはカンカン照りより良いかもと思い直す。
　北東に国道２号を越えて少し行くと山之越方墳がある。民家の脇を墳頂に上ると眺望が開け、高谷さんが妻鹿や書写等の山々を教えて下さる。２００ｍ南に檀上山前方後円墳が、全長140ｍの県下２番目という威容を沈めている。後円部頂上には長持型石棺が露出している。
　積もった落ち葉を滑らない様に踏みしめながら東側に降りていくと、一面黄色の花群が目に飛び込んでくる。周濠の湿地に群生する花菖蒲の様だが、黄色とは珍しい。東に数１００ｍ歩くと官兵衛も調練したであろう馬場跡があり、天川を渡ってじきに御着城址に着く。西に隣接して黒田家廟所があり、官兵衛の祖父重隆と母明石氏が祀られている。父職隆は離れて妻鹿に墓所がありその理由は諸説ある様だ。
　城址北側には旧山陽道に架けられていた幅3.6ｍ、長さ25ｍの総石造りの太鼓橋が移築復元、供覧されている。1828年の竣工で姫路藩の威信を往来する各藩大名に示したという堂々たるものである。城址には鯱を揚げて天守閣を模した姫路市東出張所が建つ。雨が降り続いているので高谷さんが頼んで下さり、中の一室を使わせていただき昼食とする。

　城址の南に国道2号を挟んで小寺大明神（天川神社）があり、ここから探訪を再開。三代の御着城主と当時の戦死者等が祀られ、毎年4月29日に各地から子孫や関係者が参集して大祭が執行されているという。
　東に少し行くと御着村氏宮の大歳神社がある。年神様を祀り各地に同名の神社があるが、ここの拝殿には天保以来と言われる多数の絵馬が奉納されており圧巻である。

　10分程北に歩くと深志野町墓地に着く。竹中重治（半兵衛）弟家累代の墓があり、竹中姓の墓が多い。墓地入口には4代目山口組組長竹中正久の立派な墓があり、生花が人目をひく。東に数100ｍ歩くと三木別所氏の抑えとされた黒田家構居跡が整備中である。
　南に下って姫路市立東中学校に寄り、中庭の古墳を見せていただきトイレまで借用する。高谷さんの地元らしく、校長先生に頼んで下さった様だ。数分でＪＲひめじ別所駅にゴールしたが、3時40分と常とは1時間以上もゆっくりとした行程であった。高谷さんが楽しく詳しくガイドして下さったおかげで傘をさしっぱなしの雨も苦にならず、感謝しつつ散会した。