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(会長:笹間美之 世話人:神野久典)

平成30年10月13日(土) 「第105回例会 :川辺の里のどかな田園を巡るウォーク」 執筆者:清水 武史

  平成30年10月13日(土) 第105回例会「ウォーキングコース」
     JR播但線甘地駅(スタート) ~ 内藤利八顕彰碑 ~ 甘地の清水 ~ 水神さん ~ 西川辺井堰の碑
           ~ 長昌寺 ~ 東屋敷 ~ 大通寺 ~ 清水地蔵堂 ~ 市川文化センター(昼食) ~ 木村定吉君記念碑
                ~薬師堂 ~ 八郎はん祭り祠 ~ 内田神社 ~ 高瀬舟だまり跡 ~ 甘地駅   ≪全行程 約10km≫

 2週連続で週末に日本列島を縦断する台風が来襲したが、この週末は久々に穏やかに晴れ渡り、 すっかり秋めき絶好のウォーキング日和となった。

 市川町は、兵庫県のほぼ中央に位置するハート型の人口12,000人程の山間の町で中央部を清流市川がゆったりと流れる。 川面に、周囲の豊かな緑の山並みが映え、田園の稲穂も黄金色に色づいている自然豊かな里。播磨風土記には、 村が川の辺にあるため「川辺(かわのべ)の里」と記され、古来より栄えた地であったらしい。 この市川町は、ゴルフクラブ製造の発祥の地としても有名で、現在でも20ものゴルフ関連業者があり、 国内のみならず海外にも輸出され高い評価を受けている。

 姫路駅からJR播但線に乗り込み、本日のウォーキング出発地点、甘地駅に9時44分に到着。 甘地駅前にある公園には、JR播但線の敷設の功労者「内藤利八」の功績をたたえる顕彰碑と播但線各駅周辺の観光案内の版画が展示されている。 利八は、全て私財を投げ打ち、用地確保に奔走して鉄道敷設を成し遂げ、播但地方近代化に大いに貢献した。 駅を線路沿いに北へ歩いて行くと10分ほどで廃寺?らしき寺の隅にある「甘地の清水」という所に着く。 その昔、弘法大師が飲み水をもらったお礼に、杖で地面をつつくと清水が湧き出たと言う言い伝えが残っているとのことだが、 今は湧き水もない。

 東に向きを変え、町中を歩いて行くと市川に架かる市川新橋に出る。山間部を流れる川面に写る緑が素晴らしく爽やかだ。 橋を渡り川沿いの312号線を北に進むと市川町の役場に来る。役場横の堤防近くに「水神さん」と呼ばれる小さな社がある。 往時は、沢山の提灯が灯され、芝居や映画が催されて多くの人で賑わった所のようだ。 更に川沿いに312号線を歩くと「西川辺川北隣保のお地蔵様」とこの地で親しまれているお堂が2棟並んでいる。 江戸時代中期のものらしい。お堂の前には大きな用水路が有り、豊かな水が流れている。 田園への水不足解消に、今から400年前、市川に堰を造って水を引くことを考案、実行した「内藤治郎右衛門」もこの町の功労者だ。 井堰の全貌を見渡せる小高い山の上にその功績をたたえる「西川辺井堰の碑」があるとのことだが、 下から見上げるに止めた。

 312号線から離れ、山裾の町中を東に進んでいくと臨済宗の寺院「長昌寺」がある。 この町に貢献した内藤家の菩提寺であり、播但線敷設に貢献した内藤利八の墓もある。 この町の唯一の高校である「市川高校」を経て、山裾を更に東に進むと内藤利八の本家に当たる「東屋敷」と呼ばれる大きな古い民家がある。 表札も「内藤」と記され、末裔が住まれているらしい。通る人、車も少なく、稲穂も重たく黄金色に輝く、 のどかな田園風景を楽しみながら、更に山裾の道を進むと、やがて、「おてら」への道を指し示す小さな立て札が見えた。 脇道の緩やかな坂道を10分ほど登ると「大通寺」にやってくる。

 寺の門前に花崗岩の大きな石の立派な号碑が建てられ、境内に入ると、町の天然記念物指定の高さ10mのサザンカの巨樹が目に入る。 12月下旬には樹木全体がピンク色の可憐な花を付け見事なものらしい。この寺の住職らしき方から丁寧にこの寺、更には、この町の歴史を話していただけた。 この寺を後にし、来た道を引き返す方向へと南下する。途中、歯痛に御利益があると地元で親しまれている「清水地蔵堂」があり、 それを過ぎると小畑川と言う市川の支流の川沿いを走る県道に出る。遠くに、播但自動車道の市川南インター、更には、 インターに隣接するように、この辺りでは、目を引く大きな洒落た屋根の建物の市川町の文化センターが見えてくる。 文化センターには、ホール、図書館、橋本忍記念館、アイアンヘッド資料展示室等があり、館外は大きな公園になっている。 この日は、この公園で朝市があったようで、店や買い物客でまだ賑わっていた。幸い我々の昼食できるベンチは確保でき、 ゆっくり昼食をとり、館内を見学。

 日本映画史上に残る名作、話題作を手掛け日本映画黄金期を築いたシナリオライター「橋本忍」もこの町の出身で、 橋本忍記念館には代表作羅生門、七人の侍、白い巨塔など数々の名画の脚本やポスターなどの資料が 展示されている。

 昼からは、ハート型地形の下部に当たる市川町南部の散策となる。

 播但自動車道に沿って南下し、町中に入ると「木村定吉君記念碑」がある。 むしろを編む製筵機を発明し、日清、日露戦争時の軍用のむしろ製造をこの町の産業として飛躍させた功績を称えたものである。 この碑から200m程先に薬師堂が建っている。由来はわからないが「流れ薬師」と呼ばれる薬師如来が祀られている。 更に、南に進み、この町の南の端の西田中公民館の一角に新しく石の祠(ほこら)が建てられている。 江戸時代の中頃、厳しい年貢取り立てで、餓死寸前の村人を自ら犠牲になることで救った「後藤八右衛門」を偲ぶ祭りが 此処で行われているとのこと。

 ここから、市川沿いを北に進み、出発地点でもあったJR播但線甘地駅に向かう。 途中、この町の氏神さんが祀られている内田神社を経て、市川沿いの堤防に出ると「高瀬舟だまり跡」の立て札がある。 江戸時代には、この市川では、高瀬舟が盛んに利用されたようだが、堤防横の馬車道(銀の馬車道)ができたことによりその姿が消えたとのこと。 堤防沿いを更に、北上し、市川新橋を渡るとJR播但線甘地駅。

 晴れ渡った秋空のもと、自然豊かな山間の「川辺の里」の田園風景を楽しみ、この町の歴史、 この町の貢献者の史跡巡りを充分に堪能できた一日でした。

へのリンク

(下記写真はクリックしますと拡大写真を見ることができます。
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1.播但線甘地駅 2.甘地駅前にてコース説明 3.内藤利八紹介案内板
4.播但線各駅案内陶板画 5.甘地の清水案内板 6.長昌寺石段
7.長昌寺 8.東屋敷標柱 9.大通寺参道
10.大通寺のサザンカ 11.宝篋印塔 12.宝篋印塔案内板
13.清水地蔵堂 14.市川町文化センターにて昼食 15.橋本忍記念館
16.市川町文化センターにて 17.木村定吉記念碑 18.薬師堂
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19.内田神社 20.高瀬舟だまり跡 -

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